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由良【episode7】〜おまけ〜







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短縮授業の為、いつもより早い放課後、生徒会室のドアを開けようと手を伸ばした私は、


ふと思い出したかのように手を止めた。


いつも生徒会室には私が最初に着いている。


だが、今日は、朝、生徒会業務のために早く来ることになっていた河井が遅刻したからと、


一番に生徒会室に居るようにと言い渡したのを思い出したのだ。


不思議な女子生徒との出合いの為、すっかり忘れていたが、河井は一番に着いているだろうか・・・。


まあ、本当に叱るつもりも今日は無いし、河井の遅刻など、飲酒に比べたら、随分可愛いものに思えて、


軽く苦笑しながら再びドアに手をかけようとした。その時、


「あ・・・、西篠君?」


急に後ろからかけられた声の主は、生徒会顧問の沢渡 礼奈(さわたり れな)先生だった。


彼女は若くて可愛らしい印象の人で、男子からの人気はすごいものだ。


「はい。なんですか?」


軽く微笑してそう答えると、沢渡先生は困った顔でそれがね、と話した。


「実は、河井さん見なかったかな?HRの時、居なくて。テストの補習の件で伝えたい事があったんだけど。」


「HRに居なかったんですか?・・しかも、補習とは・・・」


軽く眩暈を感じながら、そう言うと、


「彼女、入学早々の実力で数学だけひどい赤点でね・・・あとは平均以上なんだけど。」


「うーん、それは本当に困ったことですねえ。」


突然、ため息混じりに話す沢渡先生の隣で、いつの間に現れたのか、結城がうんうんとうなずきながら言った。


「・・・結城。」


思わずそう声をかける私を、結城は無視して続けた。


「沢渡先生、とにかく、後の事は、生徒会のメンツにかけて僕達がなんとかします。

 HRをサボった事も、美奈には後でキツーく言っておきますのでここは私たちに任せてください。」


「あら、そう?・・・まあ、頼りになるお兄ちゃんが二人も居るんだし、任せちゃおうかしら。」


にっこりと笑いながら、「はい、これ補習日時のプリント。よろしくね。」と言って沢渡先生は生徒会室を後にした。


「・・・で、美奈のやつ、どこに行ったんだ?」


「・・・ああ、そうだな。HRをすっぽかすとは、困った子だ・・・。」


ため息混じりに生徒会室のドアを開けると、そこには、河井の姿があった。


正確には、椅子をいくつか集めて、ベッドのようにしてぐっすりと眠る河井の姿があった・・・。


「・・・・早く着いていたら、美味しい紅茶でも淹れてあげるつもりだったんだが・・・」


「・・・俺も。朝あの後、あんまり美奈が落ち込むんで、一番に来てたら

 今日、昼までの授業だし、美奈の好きな食堂のカツサンドを買って行ってやるって・・・」


苦笑いをしながら食堂の数量限定カツサンドの袋をぶら下げて結城が言う。


「・・・二人とも、甘やかす用意万全だったって事か・・・」


はあ・・・と二人して盛大にため息をつく。


「この様子だと、随分夜更かしがすぎたみたいだな・・・。これでは、甘い顔は出来ないな・・・」


「じゃ、まずはお仕置きといきますか。」


「・・・ああ、その後、数学の勉強だな・・・」


結城はぐっすりと眠っている河井のお尻をパチン!と盛大に叩くと、河井は


「痛〜〜い!」と言って飛び起きた。


「美奈〜だーれが、HRサボっていいって言ったー?それに、数学赤点ってどういうことかな?」


「河井さん、今日という今日は、しっかり反省してもらうよ?」


にっこりと。結城と二人で河井を囲んで言うと、


「ごめんなさ〜い・・・」


河井は情けない声を上げて、涙目で後ずさった。


「さて、まずはお説教。河井さん、こっちに来なさい。」


にっこりと笑って生徒会長室に呼ぶと、


逃げようとしたところを結城に捕まった河井の叫びが校舎にこだました。



その後、1時間ばかりのお説教と、数学の勉強に河井がべそをかいたのは言うまでもなく。




・・・あれから12年経った今でも、未だ、河井美奈に私は恐れられていると、


今では河井の夫となった結城誠一が言っていたのは、また、別の話だ。










遠距離恋愛シリーズの美奈と誠一を出したので、
おまけに急遽つけました。(笑)
遠距離恋愛シリーズは美奈と誠一はまだ22〜3歳くらいなので、由良シリーズより前の設定になります。
由良シリーズでのリンは、28〜9歳設定なので。^^;






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