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由良【episode2】〜思い出は今も優しい〜
私の家系は代々鴻神家に仕えるお庭番だった。
お庭番といっても、庭師の事ではなく、要は密偵。忍びの一族だったのだ。
(実際にカモフラージュの為に庭師の仕事も請け負ってはいたが)
使命第一の祖父に育てられた私は、それこそ耳にたこができるほどその手の昔話は聞かされてきた。
今では、歴代当主の名前から、彼らの『特殊能力』まで完璧に記憶している。
鴻神家を語るのに不可欠なのは、この『特殊能力』のことだろう。
鴻神家は太古の時代、強い力を持っていたという巫女の血を受け継ぐ一族で、
鴻神家の中でも、代々男女子供関係なく、最も能力の強い者が当主の座を譲り受ける。
たとえ、能力の弱いものが当主に立候補しようとも、鴻神家に伝わるとある家宝が当主を選ぶのだという。
私はまだその場には立ち会ったことが無いのでその家宝が何であるかもまだ知らないが、
どうやらこの屋敷のどこかに普段は封印されているらしい。
その、家宝が選んだ現当主は由良様のお父上、鴻神清彰様で、特殊能力は
過去透視能力。
物や場所を通じてそれらに関わった者の過去や思考までも読み取る能力
…いわゆるサイコメトリーというものだ。
現在、清彰様はFBIの捜査に協力すべく渡米している。
今回の長期渡米にかかわらず、半年以上も帰らない事もよくある。
それ程、鴻神家の能力者は信頼されていて高い能力を持っていると言えるだろう。
前当主、清彰様のお母上、由羅様も強い能力の持ち主だった。
特に、治癒能力にかけては群を抜いており、その奇跡の様子は神の使いとしか言いようが無い程だった。
かくいう私も、由羅様の力で今こうして生き延びている。
赤ん坊のころ病弱だった私は、何度も死にかけ、困った両親は祖父の元へ私を置き去りにしたのだ。
当時、私の父は家のしきたりや使命に反発して祖父から勘当を言い渡されていたのだが、
みすみす死なせるよりはと思ったのかどうなのか私は祖父の元に文字どおり置き去りにされたのだ。
だがきっと、両親がこの選択を選ばなければ私は死んでいただろう。
祖父も、私を死なせないために必死で頼んでくれたのだろう。
しかし、由羅様本人はあっさりOKを出したそうだが・・・。
いまでも、ベッドに横になっているところに由羅様がやって来て暖かい光に包まれたことを思い出す。
当事、3歳程だったはずの私が覚えているくらいその記憶は鮮烈だったのだ。
しかし、由羅様の治癒能力には最大の難点があった。
その能力を使うと、由羅様の命を削ることになるのだ。
鴻上家に伝わる伝説の巫女と同じく由羅様に宿った治癒の力は、その力の大きさ故に自分の命を代償にしていたのだ。
しかし、それは全く外面には現れなかった。
何故なら、由羅様はその力の作用か、見かけは高校生くらいの外見をしていたのだ。実年齢よりも20は若く見えていたことになる。
だが、それ自体が伝説の巫女と同じだったのだ。
初めてこのことを知ったときは本当にショックだった。
その当時、私は5歳で由羅様のお陰ですっかり元気になっていた。
由羅様のところに走っていって泣きながら
「ごめんなさい!ごめんなさい!」と叫んだのを覚えている。
「リン?何を泣くの?」
ふんわりと空気を含んだように微笑みながら、由羅様が言った
「…だって、由羅様が…」
すると、由羅様は泣きじゃくる私と目線をあわせこう言った。
「私はこうして手を翳した方達の中でずっと生き続けるのよ。もちろん、リンの中でも。」
「ねぇ、リン?素敵な事だとは思わない?」
そう言ってにっこりと微笑まれた。
本当にこの人にだけは敵わない。
幼い私は胸の奥から暖かいものがこみ上げて由羅様の胸に飛び込んだ。
「うわぁぁぁぁぁん!由羅様――!」
「あらあら、リンは泣き虫ね?清彰に笑われるわよ?」
…きっと、この時から鴻神家の為に生きる決心をしたのだと思う。
それから、程なくして由羅様はこの世を去った。
清彰様は家宝の洗礼を受け、当主になられた。
そして、私は次期当主…清彰様のお子様の教育係として祖父の下で修行を積むことになった。
穏やかな性格の祖父には手を挙げられることも無く、実に大切に育てられた。
唯一、手を挙げられたのは清彰様ぐらいのものだろう。
まだ幼い時の話ではあるが・・・
それはまた、別の機会にお話するとしましょう。
はい!サイコメトリーです!・・・EIJIです(笑)
無茶設定もここまで来ると何だか清清しいよね・・・...( = =) トオイメ
鴻上家の能力者はとり合えずなんでもありって事で。。。(汗)
さて、今回子リン初登場なのですが、子供の時は可愛かったのに、
ああ、どうしてしまったのでしょう?リンよ。
つか、忘れてました(汗)今回、由良のお祖母さんであり、清彰の母の由羅初登場でした。
重い宿命にもかかわらずぽやぽやーんとした人を書きたかったので(汗)^^;
さて、次回、清彰初登場です。
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