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魔法使いの弟子〜ルルー編〜








広大な、その地を統べる領主の城は 国土の全てを見渡せる程高い切り立った丘のその最も高い場所にあった。



フォリネオ王国の王が治める城へ続く道は一本。


丘をぐるりと回る様に上る道がひとつ。他に城へと続く道はない。


そして、朝の光が清々しいその道を歩く黒いローブを着た一本の長いおさげ髪のいたいけな少女が一人…



そう、その丘の上の、ちょうど城の吊り橋までといった数十メートルといった場所に場所に私は居た。



「・・・来ちゃった・・・」



不意にため息交じりにつぶやきながら、

目の前に迫る脅迫的なまでに大きなその城を見上げて引き返したい気持ちを何とかこらえる。


・・・何故私がこの城に来ることになったのか


ことの始まりは、私のおばあちゃんだった…。



魔法使いの血を受け継ぐものは11歳になったら7年間…地方によっては9年間…

師匠について様々な魔法を学んで初めて一人前の魔法使いとして認められる…



…と、いうのがこの地方の慣わしで、


魔女のおばあちゃんの血を受け継ぐ私も例外なく修行先の魔法使いの下へ修行に出かなければいけなかったのね。


でも、他の魔法使いの卵達がするように、週間魔法使いナビや、世界高等魔法使い名鑑なんかを見たり、


今流行の遠方の国にあるという魔法学校に入学なんて手段は使わずにあっさり決まってしまった。



決まってしまった…というよりも、決まってたと言った方が正しいかもしれない。



それは大昔、大魔女だったおばあちゃんはある美形の魔法使いと出会って、恋に落ちた。


でも、おばあちゃんは魔法界の名門貴族の血を受け継いでいた為に、結局その恋は実らないまま終わった。



・・・ただ一つの約束を残して。


・・・私に孫が出来たらあなたの下に修行に行かせるわ。


何故子供じゃなくて孫なの?


なんて、そんな良く分からないおばあちゃんの乙女ちっくな思い出のせいで

おばあちゃんの初恋の人(だった)という魔法使いの下で修行を始めたわけだけど…


それがとんでもないおじいちゃんで魔法を教えてもらうというよりも、

洗濯やお掃除なんてお手伝いさんみたいなことに明け暮れているうちに気が付いたら2年が経ってた。


唯一教えてもらった魔法と言えば、家事一般の魔法と、東方の果ての国の紳士のたしなみだとか言う

『ボンサイ』を一気に育てる魔法と、紅茶をリョクチャ(これも東方の果ての国の紳士の嗜好品らしい…)に変える魔法だけ…。



・・・そして、箒で空も飛べない落ちこぼれ魔法使いルルーが出来上がっちゃったってわけ。


ところが、そのおじいちゃん…いや、お師匠様がぎっくり腰だとかで、

2年目にしていきなり他のお師匠様について修行することになってしまったの。


修行期間は7年もあるから、師匠が決闘で亡くなったり、出産したり、放浪の旅に出たりで、

師匠が途中で変わるのは良くあることだけど…


(そのトラブル回避の為に遠方の国では魔法学校なんてものが出来ているくらい。)


…でも、2年目ってのは結構早い。


一応、7年間修行を見守った魔法使いには栄誉が与えられるし、

それなりの・・・働かなくても食べていけるくらいの・・・収入にもなるし、途中で投げ出す人は少ない。

まさか、ぎっくり腰だなんて理由で師匠交代なんてのは聞いたこともない…。


だいたい、魔法でどうにかならないの?って話よね。


で、いきなり、元美形魔法使い(らしい)のお師匠様の唯一の弟子だったという、

この城フェリネオ・・・城の王室付き魔法使いマルス様の元について修行することになってしまったというわけ。


マルス様と言えば、偏屈者で怖いってことで有名な魔法使いで、


弟子を取らない事でも有名な人。


普通、王室付き魔法使いと言えば、弟子の数十人を引き連れているものなのに、

彼はかなりひねた性格らしくて、どんな名家の子息の申し入れも断っているって話。

それより、自分の子供や孫をあんな鬼魔法使いに任せられないなんて言うのが本当のところだって噂。


その偏屈者の怖ーい魔法使いがあのおじいちゃん師匠の弟子ってだけでもありえないんだけど、

師匠の交代なんて頼みをおじいちゃん師匠の頼みってだけで、


あっさり引き受けちゃうんだから、世の中分からない。


分からないと言うより、もう、ありがた迷惑もいいところだから!



・・・ね?私の憂鬱の理由が分かってもらえた?



逃げ出したいけど、逃げ出せば箒で空も飛べないままリョクチャの飲めるボンサイ屋ルルーをするしか無い


なんて、そんなおじいちゃん師匠しか来ないような店を開いて細々と生きていくなんてありえないし…。



「・・・はぁ・・・」


本日数十回目のため息をつきながら、巨大な吊り橋を渡る。


真ん中まで来たところで、思わずくるりと方向転換をした私の前に、


紺色のローブに身を包んだ女の子が現れた。



「あ〜ら?もう帰るの?」



少女はフードを目深に被って少し楽しんでいるような声で言った。


「あ、あの・・・どなた・・ですか?」


私が言うと、彼女は濃紺のフードをはずした。


「うふふ、ごめんなさい。私はビアンカ。この王室付きの魔法使いよ。」


ローブを外した彼女は目の覚めるような濃いピンク色の髪をした、

とても綺麗な顔立ちの私より数歳上らしい外見をした少女だった。


「え?でも、マルス様は男性の方だって・・・」


「ふふ、彼はね。でも、王室付きの魔法使いは一人じゃないのよ。おさげちゃん。」


少女はにっこりと悪戯っぽく笑う。・・・どうもかなり楽しんでいるらしい。

内心少しムッとするけど、相手が王室付きの魔法使いだということは、師匠の同僚だから、
失礼な態度は取れないし・・・。

外見は少女でも、魔法使いは力が最も充実した年齢である程度成長が止まっちゃう人もいるから、

個人差があるにせよ、王室付きの魔法使いが一見少女でも別に不思議なことじゃ無いのよね。


「そうだったんですか・・・知らなくて。」


「知らなくても仕方ないわ。王室付き魔法使いのことなんて。・・・王室付きの魔法使いは5人。
 ・・・弟子のいる魔法使いは3人いるわ。マルス先輩はいろいろと有名だから
 王室付きの魔法使い=マルス先輩だけって思われがちだけどね。」


そうなんだ・・・と、すっかり新事実に驚いていると、


「そんなことよりおさげちゃん、あなた、お名前は?」


にこり、と少女に訊かれて我に返った。


「あ、えと、師・ジャスティスの紹介で本日よりマルス様の弟子・・・として修行することに
 ・・・なりました、ルルー・ゴールドファーランスです。」


あわてて自己紹介をすると、少女は目を丸くして


「え、ゴールドファーランス家って・・・魔法使いの名門の・・・。
 しかも、あのジャスティス様の紹介ですって?」


どうやらずいぶんと驚いたみたい。おじいちゃん師匠ってもしかして意外と有名人?


「なるほどね。どうりでマルス様が引き受ける訳だわ。」


ふふふ、と、ひたいに手をやって、少女はなにやら一人で納得している・・・


「あの・・・・」


思わず声をかけるのと、今度は彼女が我に返って


「あら、いけない!マルス先輩に頼まれてたんだったわ!ほら、行くわよ!おさげちゃん!」


私の手首を掴むなり駆け出して、さっさと城の中に入ってしまった・・・。


「や、ルルーですってば!や、ちょっと!まだ心の準備がー!」





こうして、何の心の準備も出来ないまま、私の弟子生活は始まってしまった・・・・・















魔法使いの弟子シリーズ第1作目として書いていたものですが、
これ、半分は前に書いたものを思い出しながら書いたんですよね。(汗)
友達が遊びにくる前に、ヤバい小説(笑)のフォルダをトップページに
置きっぱなしにしていたやつを、とりあえずゴミ箱に入れてしまってて
(↑突然友達が泊まりに来る事になって外で待ってもらってたので冷静さを欠いてます^^;)
つか、彼女が遊びに来てエロ本隠す彼氏的行動(笑)

・・・そして、後日、何の確認もせずにゴミ箱を空にしてしまったのです(汗)
クシャっと言っておりました。
とても華麗にクシャっと。
しかも、その事実に気付いたのは後日、あのフォルダないなあと思って探した後でした(汗)
まあ、新しくビアンカというキャラも付け加えたことだし、
(元はいきなり場内に通される設定でした)
結果オーライ?かなと。^^;







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